U:もう家具に鋭いエッジはいらない。エッジの美学は終わらせて、角を丸め、撫でながら帳尻を合わせるようにしたらいいと思う。
Y:たぶんその方が日本人の気持ちも和らぐと思います。今はエッジが効きすぎて、社会全体がエッジーになっていて、疲れている感じがします。
U:もうエッジの効いたプロダクトは世の中で5%くらいで十分だと思います。
S:collaboreのプロダクトは面取りがされているけど、少し尖って見えるバランスが美しいと思います。
Y:最初はややエッジーな方が、時間が経って丸みを帯びてくるといい味になるんですよ。面取りはやりすぎると、だれてしまう。面取りはすべてを決めるんです。やりすぎには注意しないといけませんね。
U:面取りする時、サンダーを使うか、鉋を使うか。山形さんは鉋を出すよね。
Y:私は鉋の後に、手で触りながらヤスリをかけます。
U:陰影を出すためにね。
Y:自然な仕上がりにするために。
U:山形さんの作業している姿は、まるで料理人の所作・作法のように美しいですよね。
Y:20年、30年前に製作させてもらったお客さんから、最近また依頼が来るんですけど、そのお客さんが私の成長を見てくれていて。「初期の頃は必死で尖ってたね」なんて言われるんですよ(笑)。
でも、そのお客さんがその家具と年月を共に過ごして楽しんでくれたことが、会うと伝わってきますね。
U:たぶん、今は過渡期で、何もかも機械化されてしまったら、一瞬みんなが黄昏れる時代が来ると思います。でも、4、5年後にはcollaboreのようなモノづくりをしている製作者の価値がわかる時代が来るんじゃないかな。